NEDO MicroDose プロジェクトの正式名称は、「マイクロドース臨床試験を活用した革新的創薬技術の開発」といいます。このプロジェクトは、経済産業省管轄の独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)が、一般社団法人医薬品開発支援機構(APDD)に委託し、東京大学・杉山雄一教授をプロジェクトリーダーとして、2008年10月より、2年半の予定で実施されています。 「マイクロドース臨床試験」という、ごく微小用量の医薬品を人体に投与し薬物の動きをみることで、開発をすすめる候補となっている化合物の中から最適と予測される化合物を選択し、医薬品の承認申請に向けての臨床開発にのせていく意思決定をする、という開発戦略が現在世界的に注目されています。しかし「マイクロドース」と定義される微小用量を人体に投与した結果が、どのくらい実際の臨床投与量での薬物の動きを予想できるか、科学的なコンセンサスはまだ確立してはいません。 そこでこのプロジェクトでは、マイクロドース用量から実際の臨床用量での薬の動きを予測しうることを示すとともに、予測可能性に影響を与える様々な要因を明らかにし、基礎的な研究によるデータとあわせることによって、マイクロドース臨床試験による予測可能性を高める「パッケージツール」を開発することを目的としています。 この目的を達成するために、本プロジェクトでは全国の著名な研究機関14機関との共同研究を実施、製薬企業コンソーシアム、分析・測定を担う企業や臨床研究を実施する民間医療機関のコンソーシアムを形成し、2年半のプロジェクト期間中に、20件以上の異なるデザインの臨床研究を行っていきます。これらの臨床研究では、既に承認されている医薬品を使ってマイクロドーズ用量と実際の臨床用量の関連性を確認し、その関連性に影響する様々な要因を明らかにしていきます。APDDの「臨床研究マネジメントチーム」が、これら臨床研究の倫理性・科学的信頼性を確保していきます。 「マイクロドース臨床試験」による医薬品開発戦略を日本の製薬企業が活用することで、世界に先駆けた優れた医薬品の開発が国内先行で促進され、ドラッグラグを解消し、有効で安全な医薬品を迅速に医療現場に届けることが可能となります。